過去の公演
第十三回公演
「ドロケー」
2024年3月9日(土)・10日(日)
櫂スタジオにて
第十三代国王が即位されて七年。
国の形は、この七年間で大きく変わった。
五年前から始まった戦争は、終わる兆しもなく、ずっと続いている。
刑務所に服役していた犯罪者達は、「兵役軍」と名前を変えられ、
最優先で戦地に送られるようになった。
犯罪者の血縁者や、前科者は全員「兵役予備軍」とされ、
一般国民との居住地も区別されている。
ある日、現国王の妹君が誘拐された。
彼女の捜索を命じられ、奔走する王族直下治安維持部隊の四人。
探すうちにたどり着いたのは、「兵役予備軍」の四人だった。
「全員捕まえてみせるさ」
「奪って戻る。ただそれだけ」
──さあ、始めよう。
第十二回公演
「ただいま、おかえり。いってきます」
2023年9月16日(土)・17日(日)
遊空間がざびぃにて
田舎町、田んぼと緑に囲まれて、
私たち六姉妹は育ってきた。
喧嘩もしたし、すれ違いもしたけど
全員大人になって、バラバラになった。
ある朝、母が亡くなった。
窓からの風が心地よい、夏の朝だった。
久しぶりに姉妹全員が集まって、
母の葬儀が執り行われた。
集まった親戚や知り合いの中に、
一人だけ知らない青年の姿。
彼は一体…?
私たちは、母親の遺品とともに、
自分たちの人生を整理していく。
第十一回公演
「ふつう」
2023年3月11日(土)・12日(日)
阿佐ヶ谷アルシェにて
朝六時半に起きて、染めたことがない黒髪をまとめる。
見慣れた制服に着替えて、お弁当を持って家を出る。
私は、普通の女子高生だった。
両親から、普通でいなさいと言われて生きてきた。
ある日、交通事故に遇い、留年。
遅れを取り戻すために入ったフリースクールという場所は、
普通とはかけ離れた場所だった。
新しい学校で出会う、普通じゃない学生たち。
普通じゃない生活の中で、私が今まで知ることが出来なかったこと、
知ることができるんじゃないか。そんなことを考えていたら─
「来年、この学校は閉校します。」
皆の拠り所であるこの場所は、来年なくなってしまうという。
私たちは、この問題を乗り越えることが出来るのか?
私は、「私」を見つけることが出来るのか?
普通の私の、普通で、普通じゃない物語。
第十回公演
「そして私が生き残った」
2023年9月17日(土)・18日(日)
ひつじ座にて
物語というものは、勝手に始まるものである。
登場人物たちは、幕が開くたびに、何度も何度も同じ人生を繰り返す。
自分たちの意志とは関係ない。
それがこの世界のルールなのである。
私は、そんな登場人物に強い憧れを持って、この世界に来た。
練習は易しいものでは無かった。
厳しい演出家、意地悪な役者ー
演劇というものは、考えているよりももっと難しい。
私は今日も、舞台の上で台本を片手に声を上げて、
決まった動きを繰り返す。
いつか、ステージでベースを片手に輝いているあの子に近づけるように。
そして、ついに私の名前も、登場人物の欄に載る日が来たのだ。
この劇団の次の公演に出られることになったのだから!
私は一体、なんという名前の登場人物なんだろう。
第九回公演
「眠り姫」
2022年3月12日(土)・13日(日)
キーノート・シアターにて
夜になると、考えたくないことを考えてしまう。
そういう日に、誰かがいてくれる場所。
眠れない時に、誰かと話せる場所。
不眠症であるという女の子、
紬希(ツムギ)のために始まったこの空間は、
いつの間にか人が増えて、
いつでも誰かがいる場所になった。
何もない日常。何もしなくていい時間。
こんな時間が、ずっと続いていけばいい。
そう思っていた。
ある日、紬希が、目を覚まさなくなった。
第八回公演
「潮騒のような、」
2021年9月4日(土)・5日(日)
荻窪小劇場にて
高校二年生、夏。
教室から見えるのは真っ青な海と、白い雲。
流れ込んでくる潮の香りとカモメの声。
蒸し暑い図書室の中で繋がった5人には
それぞれ秘密があった。
あいつの事が好きなあの人、
あの人の事が好きなあの子、
あの子の事が好きな私。
学校という小さな世界の中で、
自分が何も知らないところで鳴り続ける潮騒。
彼らの想いが交錯する、41日間の物語。
観劇三昧にて、有料配信中!
第七回公演
「明日晴れるといいな」
2021年3月20日(土)・21日(日)
キーノート・シアターにて
「十年後の今日、掘り返しにこよう」
中学生最後の日に、そう約束して、
私たちはバラバラの道に歩み始めた。
一人一つ大事なものを詰めた、タイムカプセルを埋めて。
ど田舎の学校の、廃部寸前の天文学部で、
集められた厄介者と築いた、三年分の思い出。
田んぼしかない通学路、満天の星空と、蛙の大合唱。
皆で流星群を見たあの山に、私たち、十年後また立っている。
掘り起こした思い出は、泥で薄汚れていた。
中身を見返して、懐かしいね、なんて、大人びた顔で笑った。
「あれ、一つ多くない?」
タイムカプセルの中に、見に覚えのない思い出が、ひとつ。
これ、誰が入れたやつだったっけ。
観劇三昧にて、有料配信中!
第六回公演
「色相環」
2020年7月18日(土)・19日(日)
サブテレニアンにて
“絵描きが集うシェアハウス”ー「シェアードハウス夢工房」。
いつから始まったのか分からない、古びたこのシェアハウスは、
どうしてか受け継がれ、今もここに存在している。
今年もまた、一人の入居者がやってきた。
一つ屋根の下、共にするのは、”寝食”のみ。
残りの命は全て、自分の絵のために燃やしていく。
そんな家の中で過ぎる、とある夏。
ざわつく心が、音を鳴らすー。
第五回公演
「これにて閉幕。」
2020年2月8日(土)・9日(日)
プロト・シアターにて
今回で7回目の公演を迎えた小劇団「劇団ファイズ」。
赤字にも、黒字にもならず 観客が減りも、増えもせず
無難で、凡庸な4年間。
我が道を行く主演女優、
憧れに突き動かされた後輩、
団員の雑多を支える音響、
ちょっと変わった正義の味方、
愛を追いかけ続ける想い人、
前だけを見ているドリーマー、
妥協を許さない脚本家、
全てを纏める、主宰。
そんな彼らに、憧れの舞台での公演話が舞い込んだ。
もう二度とないかもしれない 一世一代、空前絶後の大一番。
このチャンスを逃さぬようにと、光へと駆け出す8人。
しかし、憧れた舞台の前には、大きな壁が。
「探さないでください。私のことなんて、綺麗さっぱり忘れてください。
さよなら」
公演まで、残り4ヶ月。
必要なものは、場所と、脚本と、人間。
演劇には、それさえあればいい。
ただ、それだけで。
あの舞台に立つのは、果たして━━。
「これにて、閉幕とさせていただきます。
誠にありがとうございました。」
第四回公演
「HATE」
2019年7月20日(土)・21日(日)
プロト・シアターにて
来週、元カノが結婚するらしい。
特に未練があったわけでもない。
俺にとっての青春は中学時代。
ゴミ溜めの中で過ごした
あの時間は好きだった、と思う。
だから、俺は来週自殺する。
元カノの結婚式の日に、
俺が世界変えてやるんだ。
残された時間は一週間。
俺の運命やいかに…!?
次回最終回!乞うご期待ッ!
第三回公演
「コインランドリーが世界を救う」
2019年2月2日(土)・3日(日)
上野小劇場にて
とある小さな町の
狭いコインランドリー。
転勤先のボロアパートには
洗濯機を置くスペースもなく
仕方なく通ううちに出会った、
変なご近所さん。
ここでしか会わないし、
ここでしか話さない。
それでも確かに
存在するコミュニティ。
目まぐるしく過ぎる日々、
乱立するイベント。
家族問題、
人生相談、
色恋沙汰?
どうだっていいじゃないですか、
来年、この星、滅びちゃうんだから。
第二回公演
「夜、鉄道の奔る銀河より、」
2018年8月25日(土)・26日(日)
上野小劇場にて
拝啓
厳しい残暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。僕は毎日、最終列車に乗り込んで同じ作業を繰り返すだけの仕事に向かい、始発列車に揺さぶられてまだ眠る弟を横目に家に帰る、という代わり映えない日々を過ごしています。君がいなくなってから変わったことといえば、僕にしか見えない女の子と生活するようになったことくらいです。弟は、相変わらず、僕とは正反対の生活を送っているよ。僕も、相変わらず、何もわからないままです。君は、今どこで、何をしているでしょうか。夜、鉄道の奔る銀河より、君からの返事を待っています。
敬具
劇団すらんばー旗揚げ公演
「SEEYOUAGAIN」
2018年3月17日(土)・18日(日)
ひつじ座にて
いつからだったかは思い出せないが、私は、気づいたら小説を書いていた。近頃、一作を書き終えると、頭痛がするようになった。書く度 書く度、頭が痛い。それでも書かなければいけない、彼に会わなければならない。と、なぜか 掻き立てられる。彼はあの日に留まったままで、それでも私は進み続けてしまう。でも、友人は私より、もっともっと進んでしまっていて、進みたくないという我儘と、進まなければいけないという現実に脳みそが揺さぶられる。すると、ズクン と後頭部の方から音が聞こえて、酷い頭痛に襲われた。早く書かなきゃ。早く、書かなきゃいけない。
私は、彼に 呪われている。
企画公演
劇団すらんばー番外公演
「あの日の光にサヨナラを」
2023年12月9日(土)・10日(日)
中野バニラスタジオにて
気がついたら、私はここにいた。
懐かしいような。初めて見るような、
学校に似た、ただ広い建物を歩いていた。
階段を昇っても、降っても、
延々と同じ景色が続くだけだった。
定期的に、誰のためでもないチャイムがなり、
時間が経つにつれて、窓の外の太陽は傾く。
いつの間にか校庭から声のようなものが聞こえて、
急いで外を見たものの、そこには誰もいない。
静寂に耐えかねて、おーい、と呼びかけてみる。
遠くから、同じような声が聞こえた。
その声を逃さないように、その声に近づけるように
必死になって廊下を走った。
そこで出会った、初めましての私達。
見なきゃいけないものから目を逸らし、
考えなきゃいけないことを放り捨て、
私たちはここで、無くしたはずの青を追いかける。
あの日の光に、サヨナラを言う、その日まで。
劇団EXPO’2021
「HATE」
2021年11月20日(土)
千本桜ホールにて
中学時代の仲良しグループ「ゴミ溜め」
リーダー格だったひなこが結婚するという。
お祝いという名目で同窓会を開いたが、
ゴミ溜めの中心である秋斗による、
突然の自殺宣言。
「俺、来週自殺しようと思って。」
半信半疑のままの千尋と祐一郎、
どうにかこうにか自殺を止めたい奏、
音信不通になる秋斗、
歩みを止めないひなこ。
自殺宣言の理由とは一体何なのか。
自殺宣言の理由とはいったい何なのか。
青春時代が世界を変える?
ゴミ溜めの運命やいかに──!?
次回最終回、乞うご期待ッ!
煌、燦、星
「掬イ救ワレ透キ好カレ」
2017年9月17日(日)
宮益坂十間スタジオにて
夏の早朝。煩い蝉の声も、嫌な湿気も熱気も姿を消して、窓の外がだんだんと白くなる。思い出したくもないことがどんどんと頭に湧いて、それから逃げるように毛布をかぶる。しばらくしたら嫌に汗ばんできて、毛布から出たら、思い出したように蝉が鳴いた。あの夏に閉じ込められていたい。と、蝉のように騒ぐ勇気のない私は、狭い水槽で掬いを待つ赤のように、ここで毛布を被るしかないらしい。
劇団スパゲッティズ旗揚げ解散公演
「君へのラブフォーユーをメロディと呼ぼう」
2017年2月26日(日)
アトリエ第七秘密基地にて
僕は、大学3年生の頃から仲間とバンドを組んでいました。まあ、僕自身楽器がめっきりできなくて、数が足りていないギターを任されて、無理矢理弾き始めました。友達の友達が2人、友達が1人、知らない子が1人。5人で僕たちは2年間、三ヶ月に1回くらいのペースで、小さなライブハウスで、両手で数えられる程度の客の前で、精一杯青臭くて恥ずかしい正義を振りかざしていました。ダサいしクサイし恥ずかしい僕たちの、なんでもない一生の一瞬を、どうか温かく見守ってください。僕から、君へのラブフォーユーをメロディにのせて、君に届けたいと思います。 だっせえ。